デ・キリコ展を観てきたって話。
東京都現代美術館にて開催されている、デ・キリコ展。
ギリシャに生まれたジョルジュ・デ・キリコ(1988-1978)。彼は90歳でこの世を去るまでに果敢にさまざまな画風に挑戦する。だがいずれも不穏で不安にさせる。まるで一貫性のない夢のような世界観だ。
マネキンや塔、古代ギリシャの道具などアンナチュラル。時にはそれらの時代性の異なるモチーフを組み合わせたりする。そしてさまざまなモチーフが並ぶとそれぞれの消失点が異なり、歪でありながらもどこか均衡を保つ。そもそもモチーフの秩序がないことから一貫した視点のあり方などある前提を求めることがバカらしくなる。
空のグラデーションは一貫して夕刻とも夜明けともマジックアワーである。彼の作品では時間がはっきりしないためこれも違和感を心に残す。
彼の提言した形而上絵画というコンセプト、そしてそれの創始者であることを確立するために彼は過去作の再制作を行う。これは多くの非難を受けたようだが、その後のマグリットをはじめとしたシュルレアリスム、そしてアンディ・ウォーホールといったポップアートに影響を与えたことからも彼は決して間違っていなかった。