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インターネットポルノ中毒-やめられない脳と中毒の科学-(著:ゲーリー・ウィルソン)を読んだって話。


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病理学・解剖学・生物学の研究者によるインターネットポルノの中毒性の啓発書。

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インターネットポルノの歴史は浅い。ADSL普及以降、動画配信にも耐えうるインターネット環境になってからだ。だから一種の嗜好品の枠に止まりがちだ。
だがその危険性は恐ろしいもの。

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まずインターネットポルノとポルノ、大きな違いは何か。
それは新しい刺激を次々と切り替えることができるということだ。
クーリッジ効果という心理学用語がある。哺乳類のオスがあるパートナーとの性的欲求が尽きても、新たなパートナーと出会うと性的欲求を回復させる現象だ。
インターネットポルノはクリック1つで新たな性的パートナーをオカズにできる。

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性的欲望はドーパーミン分泌に由来する。ドーパミンは脳の報酬系を刺激し、快楽を覚え、中毒性をうむ。人間が普通に生活していても刺激する対象は多くあり、食べ物・セックス・愛・友情・真新しさ。これらは自然報酬とされ、化学物質と大別される。

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さて、ドーパミンは実は快楽そのものではない。期待の段階でドーパミンが高まり、アヘン類が放出される。これが快楽そのものだ。

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ドーパミンとアヘン類、強いのはドーパミンだ。その不均衡ゆえ、中毒状態になると探し求めることにハマり、いざ快楽行為をしたとしても満たされない。負のループとなるのだ。

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それに加え、射精を伴うインターネットポルノは他の自然報酬と大きく異なることがある。ホルモンの変化が生じることだ。これはメスやヘロインといったドラッグと全く同じなのである。

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ドーパミンが急増するとDeltaFosBというたんぱく質が生産される。これが蓄積すると脳は性的興奮の神経細胞と興奮に関連した出来事の記憶を蓄積する神経細胞をつなげる。引き金(キュー)は匂いや視覚情報など多岐にわたる。
こうなると日常の中で中毒反応が見られるようになるのだ。

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インターネットポルノは多くは10代前半の思春期からアクセスできる。12歳で神経接続が刈り込まれ、収縮していく脳の形成プロセスを考えると、いかに大きな問題かもうかがえる。

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ちなみに本著は山形浩生氏による翻訳。
最初は「山形さん、仕事の幅が広いなー」と思い手に取ったものの、読めば山形さんのコラムを読んでいるようにすら思えた。もろに山形さんの仕事のストライクゾーンである。

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